取引行為の場合
会社の事業に属する一定の職務を行う権限を持っていた従業員が、その権限外の行為を行い、取引先に損害を与えたという場合、その行為は従業員の権限外の行為ですから、会社は使用者責任を負わないとも考えられます。
しかし、判例は、取引の外観を信頼した第三者を保護するため、従業員の職務そのものには属しないが、外観上職務の範囲内のように見える行為については、使用者責任を認めています(外形標準説)。ただし、第三者が、その従業員が職務権限外の行為をしていることを知っている場合、あるいは、知らないことについて重過失がある場合には、第三者を保護する必要がありませんので、会社の使用者責任を否定しています。
たとえば以下のような判例があります。