刑事事件

保釈の申請について

保釈の申請について

「保釈」という言葉自体を聞いたことはある方が多いと思います。しかし、「保釈」という言葉の意味を正確に理解している方は案外少ないように思えます。そこで、このページでは、保釈という制度についてご説明いたします。
「保釈」について、「保釈金を支払えば釈放されるものだ」というイメージを抱いている方が一般的には多い印象を受けます。確かに、保釈金を支払わなければ釈放されないのですが、保釈金を支払えば必ず釈放されるというわけではありません。

釈放を求める方法

そもそも、刑事訴訟法では、起訴前と起訴後で身体拘束を解く方法、つまり、釈放を求める方法を区別しています。

起訴前には準抗告

身近な人が逮捕された場合」のページでもご説明しましたが、起訴前に釈放を求める場合は、準抗告しか手段がありません。
「示談が成立することで釈放されることも多い」と書かれていますが、この場合の釈放は、あくまで検察官の裁量に委ねられているので、示談が成立したとしても、釈放されるか否かは検察官次第です。
そのため、有無を言わさず釈放を求めるためには、準抗告を認めてもらうしかないのです。ただ、その準抗告が認められにくいということは、「身近な人が逮捕された場合」のページでご説明したとおりです。

起訴後には保釈申請

これに対し、「保釈」という仕組みは、起訴後に釈放を求める手段なのです。そのため、必然的に、保釈の申請を行なうのは起訴後ということになります。
保釈の申請を行なうと、裁判所が保釈を認めるかどうか判断し、保釈が相当と判断すると、「保釈許可決定」が出されます。その決定書に保釈金の金額も記載されていますので、その金額の保釈金を納付すると釈放されます。
したがって、「保釈」は、「保釈許可決定」が出されることが大前提で、その「保釈許可決定」が出された場合に、保釈金を裁判所に納付すると釈放されるという制度なのです。「保釈金を納付すれば釈放される」という制度ではありませんので、この点については誤解のないようにご注意ください。

保釈申請のポイント

身元引受人の必要性

保釈には、「身元引受人」が必要です。というのも、被告人の私生活を適切に監督し、裁判所への出頭を確保するため、被告人の身元を確実に引き受ける人物が必要なのです。そのため、身元引受人を確保できない場合は、保釈の申請は難しいと言わざるを得ません。

保釈金について

また、保釈には保釈金が必要になってきますが、保釈金の金額が100万円を下回ることは通常ありません。事案によっては、200万円~300万円もの保釈金を準備する必要がありますが、これだけの大金を用意できない方も多いです。その場合は、使途を保釈金に限定して貸付けを行っている業者がいますので、その業者から借入れを行なうという方法もあります。詳しくは、弁護士にお尋ねください。

保釈中の制限

保釈が認められ、保釈金を納付したことにより無事に釈放されたとしても、生活が何もかも元通りになるわけではありません。
第一に、住居が制限されます。保釈を申請する際には、「制限住居」といって、保釈中に生活する場所を指定する必要があるのですが、保釈が認められた場合は、その制限住居で生活しなければならなくなります。
また、第二に、共犯者や被害者など、事件関係者と接触することは禁止されます。
さらに、そのほかにも様々な約束事が決められていることもあり、仮にこの約束事を破った場合は、保釈金は没収され、それだけでなく、保釈も取り消されて、再び勾留が始まってしまいます。そして、その約束違反が最終的な判決に悪影響を与えることも避けられないでしょう。

保釈によって釈放されると、被告人やそのご家族は安心して気を抜いてしまうことも多いです。しかし、保釈されたかたらといって事件が終わったわけではありません。保釈金が没収されて再び勾留が始まる危険性を常に意識しながら生活することが肝要でしょう。