初めての相続・遺言

後見人について

後見制度とは?

後見(こうけん)とは、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方を法的に保護するために民法で定められている制度です。

こんな時に相談してください

一人暮らしで今後が心配…

ひとり暮らしのA子さん。息子や娘は他県で暮らしているため近くに頼れる身内がいない。
最近、軽度の認知症と判断された。高齢者向け住宅に入るべきか?大家として管理してきたアパートの管理はどうなるのか?場合によっては、今から支援を頼みたい。

知的障害の息子、自分がもしもいなくなったら…

Bさんは知的障害のある息子とふたり暮らし。夫とは離婚をしている。
今は元気で息子の面倒が見られているが、もし自分が事故に遭った場合や、自分が亡くなった後の息子の将来が心配。
また、自分が認知症になった時など、自分自身と息子の生活にも不安がある。

悪徳商法に騙されている?
収入に見合わないものを買ってしまう

Cさんは、一人暮らしの70歳になる高齢者。身内は遠くに暮らす息子である私だけ。最近よく訪問に来るセールスの人と仲良くなり、10万円もする布団を次々と購入してしまっています。認知症のためか冷蔵庫には同じものばかり。私は遠くで頻繁に帰れないので、今後について相談したい。

成年後見制度とは?

1. 自分の財産を適切に管理できますか?

高齢の方の中には、認知症等により判断能力が低下し、自分の財産を適切に管理できなくなってしまう方がいます。
例えば、セールスマンに勧められるまま、必要のない高価な物を買ってしまったり、やはり必要のない住宅リフォームの契約を締結してしまったり…。また、突然現れた親族の一人に、言われるがまま財産管理を任せ、その結果として、大事な預貯金を勝手に引き出されてしまうことも考えられます。

2. 「後見開始の審判」の申立てを検討しましょう

もし、身近に自分の財産を管理できなくなっている方がいたら、具体的な問題が発生する前に後見開始の審判の申立てを検討した方が良いでしょう。
この申立てについては、本人や配偶者、四親等内の親族等がすることができます。
また、成年後見人が選任されるためには、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」、つまり判断能力を欠いていることが前提となりますが、もし、その程度まで至らなくても、保佐や補助といった制度が利用できる場合もあります。
この「保佐」の制度は、判断能力が著しく不十分である場合に、「補助」の制度は、判断能力が不十分である場合に利用されます。
いずれも本人(成年被後見人、被補佐人、被補助人)を保護するための制度ですが、判断能力の程度に違いがあるため、成年後見人、保佐人、補助人の権限もそれぞれ異なります。 これらの申立ては、まず医師の診察を受け、診断書を書いてもらってから、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対してすることになります。

3. 成年後見人の選任

後見開始の申立てをした場合、裁判所が成年後見人を選任し、それ以後はその成年後見人に財産管理等が任されます。
成年後見人には、子などの親族が選任されることもありますが、専門家である弁護士が選任されることもあります。
また、親族が成年後見人となり、弁護士等の専門家が後見監督人として選任される場合もあります。
この後見監督人とは、成年後見人が被後見人の財産管理等を適正にしているかどうかをチェックする立場にある人です。
成年後見人が選任されると、もし、被後見人が上記のような契約をしてしまったとしても、
成年後見人がこれを取り消すことができます。また、被後見人の通帳やキャッシュカード等を他人が預かっている場合には、成年後見人がこれ引き継ぎ、以後、責任を持って管理することとなります。 さらに、成年後見人は、被後見人が施設へ入ったり病院に入院したりする契約についても締結することになります。

4. トラブルに巻き込まれる前に事前の対策を

なお、成年後見人からの請求により、被後見人の財産から報酬が支払われることとなりますが、その額は裁判所が判断します。通常、月額2〜6万円程度になることが多いようです。
判断能力の低下した人が思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、その大事な財産を守るためにも、このような制度の利用を検討してみて下さい。

成年後見制度の類型

また、上でも少し触れましたが、成年後見制度は、さらに物事を判断する能力の程度により、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの制度に分かれます。

1. 後見

物事を判断する能力を常に欠いている人を対象としています。
後見は、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって常に判断能力が無い状況の方を保護するためのものです。
本人は、原則として、日常生活に関する行為以外、自分だけで判断して法律行為をすることはできません(例外もあります)。
手続きとしては、後見開始の審判の申立てがなされた場合、家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任します。
そして、選任された成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。
また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為(契約など)に関しては日常生活に関するものを除いて取り消すことができます。

2. 保佐

物事を判断する能力が著しく不十分な人を対象としています。
保佐は、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力が特に不十分な方を保護するためのものです。
本人は、簡単な判断などは自分でできますが、法律で定められた一定の重要な財産上の行為については、保佐人に同意してもらわないとできません。
手続きとしては、保佐開始の審判の申立てがなされた場合、家庭裁判所は本人のために保佐人を選任します。
さらに、保佐人については、原則として代理権はないが、当事者が申し立てた特定の法律行為について例外的に代理権を与え、代わりに法律行為を行なってもらうようにすることもできます。
また、保佐人または本人は、本人が自ら行った重要な財産上の行為(重要財産の権利の得喪を目的とする契約など)に関しては取り消すことができます。

3. 補助

物事を判断する能力が不十分な人を対象としています。
補助は、精神上の障害(知的障害、精神障害、認知症など)によって判断能力が不十分な方を保護するためのものです。
本人は、大体のことは自分で判断できますが、特定の財産行為については補助人に同意してもらわないとできません。
手続きとしては、補助開始の審判の申立てがなされた場合、家庭裁判所は本人のために補助人を選任します。
さらに、補助人には原則として代理権はないが、当事者が申し立てた特定の法律行為について例外的に代理権を与えることができます。
また、補助人または本人は、本人が自ら行った特定の財産行為に関しては取り消すことができます。

任意後見契約とは?

本人が契約の締結に必要な判断能力を有している間に、将来自己の判断能力が不十分になったときのために、後見事務の内容と後見する人(=任意後見人)を、自ら事前の契約によって決めておく制度をいいます。

例)今は健康で元気だが、将来もしも認知症になってしまったら身内もいなくてどうなるか心配…。

この任意後見契約を締結するためには、公正証書によって行うことが必要です。