初めての相続・遺言

何をもらうかでもめている場合

相続で何をもらうかでもめている場合

亡くなった方の相続財産について、共同相続人の間で、誰がどの遺産を相続するかでもめている場合、どのように遺産分割がなされるのでしょうか。

遺産分割の4つの方法

遺産分割の方法としては、現物分割、代償分割、換価分割、共有分割の4つの方法があります。
現物分割とは、例えば一筆の土地を分筆して分割する(ここからここまで、と土地に線引きをする)など、相続財産そのものを分割する方法です。
代償分割とは、例えば不動産を共同相続人の内の一人が単独で相続することとし、法定相続分を超えた部分については、他の共同相続人に代償金を支払わせることで分割を行う方法です。
換価分割とは、不動産などを売却換価した上で、換価した金銭を共同相続人で分割する方法です。
共有分割とは、相続財産を相続人の共有とする分割方法です。ただ、共有状態のままにしておくと様々な問題が起こり得ますので、共有物分割を行い、共有状態の解消を図った方がよいでしょう。「共有物分割の方法」については、「遺留分減殺請求の具体例」のページをご覧ください。

具体的な解決の流れ

まずは話し合いで

まず、遺産分割協議や遺産分割の調停で、どのような遺産分割を行うか共同相続人の間で話し合いを行うこととなります。共同相続人全員が納得した形であれば、分割方法は自由に決めることが可能です。詳しくは「遺産の分割」ページをご覧ください。

話し合いが調わないと

共同相続人の間で話し合いを行っても、遺産分割協議・遺産分割調停が調わなかった場合には、家庭裁判所が審判手続で遺産分割を行うこととなります。
この審判手続きの中では、民法906条が適用されます。この条文には、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と規定されています。
そこで裁判所は、遺産分割の審判を行う際には、この条文を基準としながら判断することとなります。

遺産分割の順序

具体的な遺産分割の順序としては、次のとおりです。

  • 1. まず現物分割が可能である場合には、現物分割がなされます。
  • 2. 次に、現物分割が不可能または適切でない場合で、代償分割を希望する相続人が存在していて、その相続人に代償金の支払能力が認められる場合には、代償分割の方法による遺産分割の判断がなされることもあると考えられます。
  • 3. これら現物分割も代償分割も困難な場合には、遺産をお金に換えた上で、その代金を相続人に分配する方法がとられることになるでしょう。
    その場合には、
  • ① 審判手続きの中間処分として、任意売却によりお金に換えた上で、その代金を審判で分配する方法や、
  • ② 審判において競売にかけ、競売により得られた代金から競売の費用を引いた残金を各共同相続人の相続分で分配する方法がとられることとなります。

②の方法による審判がなされた場合には、審判が確定した後に、相続人が競売手続の申立てを行うこととなります。

  • 4. なお、上記1・2・3の現物分割、代償分割及び換価分割のいずれの方法による遺産分割も適当でない場合には、共同相続人の共有とする方法(共有分割)による遺産分割の判断がなされることもあります。

  • 現在、民法改正によって「配偶者居住権」の新設が検討されています。これが認められた場合には、配偶者が居住している不動産については、配偶者が居住の継続を希望する場合には、現物分割や換価分割によって遺産分割を行うことは難しくなると思われます。

預金も遺産分割しないとダメなの?

相続財産には、遺産分割をしなくても相続人に分割されるものが存在しています。
例えば、金銭債権(お金を請求できる権利)や金銭債務(借金など)については、法律上当然に分割され、共同相続人がその相続分に応じて債権・債務を引き継ぎます。
したがって、第三者に対する貸金返還請求権、交通事故による損害賠償請求権といった金銭債権や、借金などの金銭債務は、遺産分割手続をしなくても分割され、共同相続人がその相続分に応じて債権・債務を引き継ぐことになります。
この点について、従来の判例は、金融機関に対する預金債権についても金銭債権として当然に分割の対象となるとしていました。
しかし、最高裁判所は、従来の判例を変更し、預貯金は当然には分割されず、遺産分割の対象となるとの判断を示しました。
したがって、今後は、預貯金については、遺産分割手続きをしなければなりません。