婚姻・養子縁組のための贈与
婚姻・養子縁組のための贈与については、遺産の前渡しといえるものであれば、特別受益となります。ここでいう婚姻や養子縁組のための贈与とは、持参金や支度金などをいいます。他方で、結納金や挙式費用などは、これに当たらないものと考えられています。
生計の資本としての贈与
生計の資本としての贈与とは、生計の基礎として役立つような財産上の給付を言います。例えば、不動産の購入資金を贈与したり、不動産そのものを贈与したりなどがこれに当たります。
ここで、生計の資本としての贈与に該当するか否かが問題となることがあるのが、高等学校や大学など高等教育の学資です。これらは、将来の生計の基礎になるものとして、生計の資本としての贈与に当たるといわれています。
もっとも、亡くなった方の資力や社会的地位、他の共同相続人との比較などから、生計の資本としての贈与ではなく、親としての扶養の範囲内に当たり、特別受益には該当しない場合も考えられるでしょう。
例えば、相続人である兄弟全員が大学に進学し、その学資を親である亡くなった方が支出していた場合などは特別受益に当たらないこととなるでしょう。他方で、兄弟の内1人だけが大学に進学したり、海外留学したりしており、その費用を亡くなった方が支出していたのであれば、なおかつ遺産の前渡しの性質が認められる場合には、特別受益に該当することとなるでしょう。