初めての相続・遺言

遺言書の準備

遺言は被相続人の最終意思です

遺言書を書いておいた方が良い例

  • 子供がいないので、配偶者に全ての財産を残したい
  • 相続人が多く、身内でもめる可能性がある
  • 最後まで世話をしてくれたヘルパーさんに少しでも財産をあげたい
  • 内縁の妻(もしくは夫)に財産をあげたい
  • 再婚をしたので、今の配偶者と前婚の子との財産を調整しておきたい
  • 家業を継ぐ子供により多く分配したい
  • 遺産の大部分が不動産なので、相続人にうまく分配できるか心配
  • 自分の遺産がどのくらいあるのか、よくわからない
  • 隠し子がいる

こんな場合は?というご相談もお気軽にどうぞ。

遺言書の種類

遺言は、その方式によって、「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類がありますが、通常よく用いられているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

遺言書

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者本人が、遺言のすべての内容を自筆で書き、日付と氏名も自分自身で書いて、これに印を押すことで完成します。書き間違えて訂正したり書き加えたりするときは、その箇所を明示し、変更した旨を記載して署名押印しなければいけません。
この自筆証書遺言は、すべてを自分で書かなければいけませんので、病気や障害で自書できない方は、この方式による遺言はできないことになります。

ポイント

用紙に決まりは無いですが、必ず自らが手書きしなければいけません(パソコンや代筆は許されません)。

メリット

  • 遺言を作成したこと自体を秘密にできる
  • 自分で用意ができるので、費用が掛かからない

デメリット

  • 相続時に、相続人は家庭裁判所へ検認の申立てをしなければならない
  • 検認が行われない遺言の執行は、5万円以下の過料に処せられる
  • 死後、遺言書が発見されない場合や、遺言の存在自体が知られなかったり、また見つかっても破棄される恐れがあり、遺言の内容どおりに実行されるか不確実である。

公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人に作成してもらうもので、2人以上の証人の立ち会いのうえで、遺言者が公証人に対して遺したい遺言の内容を口述(話す)し、公証人がその内容を書面にしたうえ、その内容を遺言者と証人に読み聞かせ、その後遺言者と証人が署名捺印し、さらに公証人が署名捺印することによって完成します。
この遺言書は、公証人役場で作成されるのが原則ですが、公証人役場まで出向くことができないようなときは、自宅や病院まで公証人に出向いてもらうこともできます。

ポイント

公証人に作成してもらわなければいけませんが、その分、遺言の確実性が格段に上がります。

メリット

  • 遺言書の開封時に家庭裁判所の検認が不要なので、遺言執行時の各手続きの手間や費用が浮く
  • 遺産分割協議が不要となる
  • 公証人があらかじめ遺言内容に違法な点や無効な箇所がないことをチェックするので、確実に遺言を執行することができる

デメリット

  • 公証人手数料の費用が掛かる
  • 誰にも知られたくない場合でも、公証人と2人の証人(計3人の他人)に内容を一時的に公開される
※最も証人にも守秘義務が求められます。

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密として、遺言の存在のみを公証人に確認してもらうものです。手続きについては、公正証書遺言とほぼ同じですが、公正証書遺言と異なり、遺言書の内容を密封し公証人・証人も内容を確認できません。
ただ、この方式の遺言は、実際にはほとんど利用されていません。

メリット

  • 遺言の内容に関しては、完全に自分だけの秘密で遺言書が作成できる

デメリット

  • 相続時に、相続人は家庭裁判所へ検認の申立てをしなければならない
  • 検認が行われない遺言の執行は、5万円以下の過料に処せられる
  • 遺言を作成したこと自体は、公証人と2人の証人(計3人の他人)に知られる(ただし、内容はわからない)
  • 専門家が内容を確認できないため、遺言の内容に不明確な部分などがあった場合に相続人同士で紛争になる場合がある
  • 費用がかかる

遺言方式による具体的場面での違い

1. 保管

自筆証書遺言については、作成した遺言書を遺言者が保管しておかなければいけませんので、盗難や紛失のおそれがありますし、だれかに内容を書き替えられてしまうおそれがあります。
他方、公正証書遺言は、その原本が公証人役場に一定期間保管されていますので、そのような心配はありません。

2. 手続き

自筆証書遺言については、遺言者が亡くなられた後、これを裁判所に提出して「検認」を受けなければいけません(封筒に入って封印されているものは裁判所での「開封」という手続が必要です。なお、この開封・検認の手続きを怠ったとしても遺言の効力そのものには影響はありません)。
他方、公正証書遺言の場合はこの手続は必要ありませんので、この点で簡便だといえます。

3. トラブル

自筆証書遺言の場合、相続が開始された後、遺言書の筆跡が遺言者のものとは違うといったトラブルが生じることがありますが、公正証書遺言の場合には、公証人が遺言者の本人確認をしてくれますので、このようなトラブルが生じるおそれは少ないです。

4. 「公正証書遺言」がベター

このような点からしますと、遺言は、公正証書遺言という方式にしておいた方がベターです。
また、最近は、相続開始後に、相続人の一人から、遺言書作成当時に遺言者が認知症を患っていて遺言をする能力を失っていたから遺言は無効ではないかといった主張がなされるケースが増えております。このような場合でも、公正証書遺言では上述したように公証人や証人が遺言当時の遺言者の判断能力を現認しておりますので、そのようなトラブルになることも少なくなります。
ただ、公正証書遺言を作成してもらうときには、公証人に手数料を支払う必要がありますのでご注意ください。この手数料の額は、遺産の額によって異なりますが、たとえば遺産の額が5000万円の場合には5万円ほどです(詳しくは公証人役場にお尋ねください)。

遺言書が見つかったら?

遺言書が開封されていない場合、そのままの状態でご相談ください。
勝手に開封することは禁止されています。

遺言書が見つかった場合、まず、家庭裁判所に開封(遺言書が封筒に入れられ封がしてあった場合)と検認の申し立てをしなければいけません。
この申し立てをした後、裁判所に遺言書を持参し、裁判所で遺言書を開封し、遺言書の状態や形式を見てもらい、検認調書を作成してもらうことになります。
この手続をしないと過料(罰金のようなもの)という制裁を受けることになりますが、 遺言の効力自体には影響ありません。