内縁の妻の建物使用権

内縁の妻の建物使用権

内縁の夫が亡くなったときの内縁の妻の相続権と建物使用権

質問

私は、今まで約20年間にわたり、内縁の夫Aと共同で事業を営みながら、土地及び建物(以下「本件不動産」といいます)を自宅兼事業所として使用してきました。本件不動産は、私とAで2分の1ずつの共有名義となっています。先日、Aが亡くなったため、その後は私が単独で本件不動産を使用していました。

すると、Aの唯一の相続人Yが、自分に本件不動産の2分の1の権利があると主張して、Aが亡くなった後の本件不動産の賃料相当額の2分の1に当たる金銭の支払いを請求してきたのです。私はこのお金を払わなければならないのでしょうか。

回答

結論から言いますと、特段の事情がない限り、払う必要はありません。

まず、本件不動産のAの持分2分の1については、内縁の妻であるあなたには相続権は発生しませんので、Aの死亡により唯一の相続人Yがこれを取得します。

そうすると、本件不動産の2分の1についてはYにも使用権がありますので、これをあなたが単独で占有している場合、原則からすれば、その2分の1に相当する賃料相当額を支払わなければなりません(最高裁平成12年4月7日判決)。

ただし、一方で、最高裁平成10年2月26日第1小法廷判決は、この点について、「内縁の夫婦がその共有する不動産を居住または共同事業のために共同で使用してきたときは、特段の事情のない限り、両者の間において、その一方が死亡した後は他方が右不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認するのが相当である。」と判断しています。

つまり、内縁の夫婦が共有不動産を共同で使用してきた場合は、特段の事情がない限り、どちらか一方が亡くなった場合は他方がその共有不動産を単独で使用するという内容の合意があることが推認されるのです。このような合意が認められる場合、相続人が、共有不動産を単独で占有する者に対して賃料相当額の金銭の支払を請求したとしても認められません。

したがって、今回の相談につきましては、特段の事情がない限り、あなたとAとの間で、どちらかが死亡した後は他方が本件不動産を単独で使用する内容の合意があったと推認されるため、Aの相続人Yに対して、本件不動産の賃料相当額の金銭を支払う必要はありません。

ただし、本件不動産の持分2分の1をYが相続していることに変わりはありませんので、持分をどのように解消するかは別途協議等をすることとなります。