後遺障害2(後遺障害の損害費目)

後遺障害2(後遺障害の損害費目)

前回、交通事故訴訟における「後遺障害」の意義について、説明しました。

今回は、「後遺障害」が認められることにより請求できる損害費目について、説明したいと思います。

1 後遺障害関係費目

交通事故により後遺障害を負ったことが認められると、被害者は、加害者に対して、主に①後遺障害逸失利益と②後遺障害慰謝料の2つを請求することができます。

また、認められた後遺障害の内容次第では、③将来介護費用や④将来の雑費も請求できます。

他には、後遺障害の認定において重要な資料である後遺障害診断書の作成費用等も請求できますが、今回は、この①から④までの各費目について簡単に説明したいと思います。

2 後遺障害逸失利益

(1)前回説明しましたが、後遺障害は、交通事故の被害者が、治療が終わった後も労働能力の喪失を伴う障害を負っている場合に認められます。

つまり、後遺障害を認められた被害者は交通事故によって労働能力を喪失することで、事故前であれば得られた収入額を事故後も得ることが困難となるケースが多々あります。

(2)そのため、後遺障害が残ってしまい労働能力を喪失した被害者は、加害者に対して、交通事故に遭わなければ(つまり、後遺障害が存在しなければ)交通事故後も稼ぐことができたはずの利益を、後遺障害逸失利益として賠償するよう請求できます。

この場合、被害者がどの程度の労働能力を喪失したかは、基本的には「後遺障害等級及び労働能力喪失率表」に従って、認定された後遺障害の等級によって以下のように決まります。

具体的な計算方法や例外的な決まり方については、次回以降に説明します。

  (「後遺障害等級及び労働能力喪失表」の抜粋)
   等 級  喪失率
   第1級  100%
   第2級  100%
   第3級  100%
   第4級   92%
   第5級   79%
   第6級   67%
   第7級   56%
   第8級   45%
   第9級   35%
   第10級  27%
   第11級  20%
   第12級  14%
   第13級   9%
   第14級   5%

3 後遺傷害慰謝料

(1)また、治療後も後遺障害が残ってしまった被害者は、後遺障害の残存によって少なからず精神的苦痛を受けています。

そのため、被害者は、加害者に対して、この精神的苦痛を解消するための後遺障害慰謝料の支払いを請求することができます。

なお、交通事故の被害者が請求できる損害費目には、後遺障害慰謝料と似た名前である傷害慰謝料がありますが、この2つの慰謝料はあくまでも別の費目となりますので、ここは注意が必要です。

(2)では、後遺障害慰謝料の金額がどのように決まるかというと、これも基本的には認定された後遺障害等級によって金額が決まります(下記表参照)。

ただ、事案によっては、同等級に応じた金額を超えた精神的苦痛があるとして、より高額の後遺障害慰謝料が認定されることもあります(もちろん、逆に低額となる場合もあります)が、ほとんどの事件では同等級に応じた金額で認定されています。

   等 級   後遺障害慰謝料の金額
   第1級   2800万円
   第2級   2370万円
   第3級   1990万円
   第4級   1670万円
   第5級   1400万円
   第6級   1180万円
   第7級   1000万円
   第8級    830万円
   第9級    690万円
   第10級   550万円
   第11級   420万円
   第12級   290万円
   第13級   180万円
   第14級   110万円

4 将来介護費用、将来の雑費

(1)交通事故の被害者の中には、重度の後遺障害が残ることで、第三者による介護を受けなければ日常生活を送ることすらできなくなってしまう人や、紙おむつ等の衛生用品等が継続的に必要となってしまう人もいます。

このような場合、被害者は、加害者に対して、実際に支払うことになるであろう費用額の支払いを、将来介護費用や将来の雑費として請求することができます。

(2)将来介護費用については、基本的には、重度の後遺障害である第1級から第2級の等級に認定された場合に認められますが、第3級以下の等級でも、第三者による介護が必要な後遺障害であることを具体的に証明できれば認められることがあります。

また、被害者が受ける介護が近親者であるかそれとも職業付添人(介護ヘルパーの方など)であるかによって、認められる金額が異なります。

(3)将来の雑費は、後遺障害等級による認定ではなく、被害者に残る後遺障害の具体的な内容から必要であると認められた物品にかかる費用が認められます。

ただ、このような物品には、後遺障害がなかったとしても費消していたであろうものが混在する場合もあり、その場合は費用の一部に限り認められることになります。

5 次回

次回は、今回説明した損害費目のうち、後遺障害逸失利益について、より詳細に説明したいと思います。